多くの方はすでに気づいているだろうが、表題事件の犯罪者行動から犯罪の起こり方が急速に変化してきていることが分かる。捜査陣もこの変化に対応して取り組み方を変えねばならない。
例えば関東圏を中心に起こっている連続強盗事件から、読める変化は7つある(図1参照)。
まず一番大きいのは、防犯カメラが、その抑止力を失って来ていることだ。カメラがあれば犯罪被害は防げる、と言う「カメラ=抑止力」という考えが急速に神話化してきている。明らかになったことは、カメラは犯罪者を追跡し逮捕検挙することは出来ても、犯罪を未然に防止するものではないということだ。この点が急速に犯罪企図者の間に広まっている。彼らはカメラを恐れなくなった。
確かにカメラの性能は非常に高性能化し、犯人の映像(のみならず時間を追った行動・動きまで)を鮮明に写し再現する能力向上には驚くものがある。しかしそのことは逆にそれに応じた犯罪者の学習を急速に進めさせることにつながった。彼ら犯罪者が学んだことは二つ。
一つは、素朴なことだが、工夫さえすれば「カメラに写されずに済む」ということだ。そのために枝分かれ的に二つのことが試みられている。
一つは、自分の姿を隠す、あるいは変形させるということ。二つ目は、カメラに「写さないよう即興的に簡短な仕掛け」をすれば大丈夫ということだ。
これらの工夫は、既にカメラが据えられ始めた40~50年前から成されてきている。しかし私が英国で長期に学生生活を行っていた頃(1997年)、ケンブリッジ大学の研究者が「こういう手がある」と示してくれた「カメラ映像無能化」のための「やり方(チョット知恵ある者なら誰でも入手できる簡短な電子部品使用)」には心底驚いた。もうその工夫は、時代遅れになり、使っても効果ないものになっているかも知れない(と、期待する)。ともかくカメラを設置しているから大丈夫、という時代は終わりつつあると言うことだけは確かだ。
(ここまで2022年12月22日既述)
ここまで書いてきて、これ以上の記述は犯罪者の学習をさらに進める危険性が高い(忠告してくれた友人の言)。従ってこれ以降の記述はここに掲載しない。これ以降の記述はここで終わりにする。ただ、最近の犯罪者行動の8つの変化、特に関東圏を中心に起こっている連続強盗事件の実行犯(集団)の特徴を図化し、今後の事件の進展を占う資料として掲げておく。
(文責 清永奈穂 2023/01/22)