これまでの稿で述べたように朝芽さんが江戸川の川岸に「靴と靴下を脱いだ」事、さらには「どて(堤防)」から川岸に至るまでについては、大きな疑問が生じる。

この2つの疑問に加え、第3の疑問として、「3つの点(場所)を結ぶ線」について述べる。

疑問3:本事案には3つの重要な場所(空間・点)があり、その場所を結ぶ時間的「線」について(表2参照)

一番目の場所は、時間の順序からいって「速く目の前を走って行った。ビューって感じで。何しろ速かった」という証言のあった江戸川の「どて(堤防)」。時間は、この目撃者の証言から当日の午後2~3時頃。

二番目は、母親の関係者が放置されたキックボードを見つけた「公園」。時間は、午後4時20分頃(それまでも、そこを探したが見つからなかった)。

3番目の場所は、靴や靴下が置かれていた川岸。時間は、前稿(10月3日)で述べたように事案当日(3日)の午後3時から翌日の朝までの間。

この3つの場所(点)をどういう「線(時間経過)」でどのように結べば良いのか。

例えばこの順序で言えば朝芽さんは、自宅を出てから2時間以上をどこかで過ごし、それから「どて(堤防)」上の道路をキックボードで走った。その後、朝芽さんは、その道路を離れ、自宅の方へ向かい途中の「公園」に行き、そこでキックボードを放置し、それから3時過ぎに再び川岸方向に歩いて戻り、河川敷のどこかを越えて、夕刻から翌日の朝までの間に「靴や靴下」を川岸に脱ぎ置いて、川の中に入ったということになる。

この空間(点)移動の時間順序を見て言えることは、小1の少女が取り得る行動としては「考えられない」移動だということである。昼食も取らず川岸を挟んで「右往左往」しているとしか表現しなければならない。

これほど時間を掛けて「右往左往」するほどの積もり積もった理由が麻美さんにあったのか。事案当日の自宅を出るまでの母親とのやり取りや近所の関係者の「朝芽さん評価」などから見て「考えられない」。

つまり、この点(場所)と線(移動)の基底には2つの「嘘」があると考えられる。

一つは公園にキックボードを放置したのは朝芽さんであるという「嘘」。二つは、朝芽さんは川岸で「靴や靴下を脱いだ」という嘘。

ということは、

誤りを恐れず大胆に言えば、「誰か」が朝芽さんが「そのような行動を取った」と見せかけようとしたと結論付けられる。

その「誰か」は、朝芽さんを何処かでどうかした後、再度「公園」に戻り、キックボードを放置し、その後川岸に戻り靴や靴下を置いた可能性が強い。そうすることにより、朝芽さんが公園や川岸にいたということを粧いたかった可能性が高い(既に9月27日の稿で述べたような「偽装工作」)。

このことは、その「誰か」は事件前から、あるいは事件当日の朝からかは分からないが、朝芽さんを「追いかけ付きまとって」いたのではないかとイメージできる。ということは、この「誰か」は、朝芽さんの自宅を中心としたエリアに(前から)再三足を運び、その顔や姿を見られている可能性がある。

(文責 清永奈穂 木下史江   2022/10/04)