長い休み中の子どもの危機管理(3)~チョイギスに注意~
 「閉じ込められた」中での生活は、心にいらだちや不満さらには怒りを生みます.特にこの怒りは、欲求不満を背景にした怒りで、この怒りを心理学では「frustration aggression(要求不満攻撃行動)」と呼んでいます。
例えば何かムシャクシャしたときに(よくあるのは失恋)、思わず暴飲暴食に走り、後で体重計に乗って「しまった」という経験、お持ちでは?食には走らなかったが、それまでかわいがっていた子犬に「うるさーい」と怒鳴ったことは?

それと同じ。戸外に出られずない欲求不満が貯まったとき、家屋の中では自分の心の「いらだち」、理由のつかない「チョイギス(ちょっとした、今までなかったギッスとするやりとり)」「意識しない乱暴な言葉遣い」や家族間の「なじり合い」などのさらには「家庭内暴力」が起こります。暴力まで行かずに「家庭内いじめ」が起こる可能性は十分あります。あるいはその暴力が外に向かうのではなく自分に向かっての粗暴な行為や自虐的行為など。食に向かうのもその一つでしょう。

家人だけがそうではありません.世の中全体が「チョイギス」なのです。

注意しなければならないのは、お外にたまに出た子どもが、やった本人(加害者)には犯意がなくとも、このチョイギスに巻き込まれ乱暴な言葉を投げかけられたり、ちょっとした粗暴な行為(手を払われたりするなど)を振るわれたりする(結果として重大な暴力行為になりかねない)危険性があります。

先日は、私の有人が、バスの中でセキ(ゴホン程度)をした男性の横顔を横にいた上品な女性が「ひっぱたいた(ピシャッと音がした)」のを目撃しました。普段でしたらありえない。

子どもたちに「ありえない」ことが「ありえる」んだよと伝えてください。
それが危機です。悲しいことですが危機は、それまでに蓄積した知性・理性を奪います。
幸いなことにsocial distanceで手の届かない距離を保つことが要請されています。これを守ること。
(文責  清永奈穂          2020・04・21)