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- 日本安全教育学会山形大会で清永奈穂が行った発表は以下の内容です。重要な発表と思われるので要旨を掲載します。
日本安全教育学会山形大会で清永奈穂が行った発表は以下の内容です。重要な発表と思われるので要旨を掲載します。
投稿日 : 2019年9月18日
最終更新日時 : 2019年9月19日
投稿者 : step
カテゴリー : 未分類
2007年GP研究における子ども被害調査の第二次パネル調査に関する報告
〇清永奈穂1),木村佐枝子2),八木利律子3)
1) ㈱ステップ総合研究所長(発表者)
2) 桃山学院教育大学准教授
3)常葉大学准教授
1.はじめに
2007年10月~2008年1月、日本女子大学では、文部科学省科研費研究において、犯罪被害に遭った小学生6,213名ついて、学校単位で全国調査を実施した(清永賢二研究代表「子供の安全確保のための大学院教育の構築GP研究」)。
本調査は、それから14年経過した2020年、それと同スタイル(サンプリングや調査票等)でパネル調査を行ない、犯罪被害に遭遇した児童・生徒数や学校の発生状況(発生率)がどの様に変化しているかを実態把握し、その原因・背景等を検討・研究する。
また同様に犯罪のみならず、文部科学省や警察庁等の行政統計では把握され難い児童・生徒を被害者とする「連れまわし」や「声掛け」など、暗数化しやすい危機前兆の事案がどの程度発生し、どのような時間変化を遂げているか等についても研究する。
またさらには、こうした調査研究を今年度のみならず今後もおよそ10年置きに繰り返し行うことにより、社会変化と子どもの安全との関わりについての数量的把握と研究を行う。
これらにより学校安全の確保にどのような方策を取り行って行く必要があるかを検討する際に必要となる経時的基礎データを得ることを目指す。
2-1.2007年基本調査枠組み及び調査票
2007年調査においては、全国を8ブロック(警察官区別)に分け、そのブロックから調査対象校を定め、学校留め置き法で調査票調査を実施した。調査対象は、小学校2年・4年・6年の児童である。
その時の調査票は、2種(低学年用、中・高学年用)でパワーポイントで示す(PP参照)。
調査は、基本的に子どもの犯罪危機遭遇体験(実態)を問うものであるが、子どもの危機体験として挙げられるものの内でも、明らかに犯罪的な身に迫った危機事態もあれば、大人や子どもは不安であるが切迫した事態でないが犯罪の前兆的な事態ではないかと考えられるものもある。
そこで2007年調査においては、こうした危機(犯罪)あるいは前兆的な10の状況(変な事・嫌な事・驚く事)を児童に示し、「あなたは、この1年ほどで、次のようなことがありましたか」という遭遇体験を求めた。
集計に際しては、この10の体験の内を次のように分けた。
①全危機被害体験=変な人につきまとわれる+車に乗せられそうになる+変な人に体をタッチされる+変な人にジッと見つめられる+変な人に体を見せられる+変な感じの人に声をかけられる+変な感じの人に追いかけられる+脅かして物や金を盗られる+急に大声で怒鳴られる・脅かされる+その他
②危機被害体験 =車に乗せられそうになる+変な人に体をタッチされる+変な人に体を見せられる+変な感じの人に追いかけられる+脅かして物や金を盗られる+急に大声で怒鳴られる・脅かされる
③前危機被害体験=変な人につきまとわれる+変な人にジッと見つめられる+変な感じの人に声をかけられる。
2-2.今回調査で想定する調査枠組み及び調査票
予算の許す限り2006年と同様な枠組み及び調査票で行う。ただし調査票は、2006年から14年という時間経過を踏まえ、項目を減らさずに新規項目を追加して構成する。追加項目は学会大会当日に示す。
3.2007年GP研の主な調査
(ア)児童の5人に1人が危機かその前兆的な事態に遭遇している(全危機被害遭遇体験)
全10の行為の内、1回体験したから全10回体験したという体験回数ごとに集計した(「累積計算」と呼ぶ)。
児童の21%が1年間に1回は犯罪的あるいはその前兆的な事態に遭遇している。この割合には男女による差は見られない(表11))。
(イ)児童の約13人に1人が犯罪事象の危機に遭遇している(危機被害遭遇体験)
全危機被害を絞り込んで、危機の中でも犯罪事象に相当する事態の遭遇状況の累積計算を行った。
児童の8%が1年間に1回は犯罪事象に遭遇している。この割合には男女による大きな差はない
(ウ)児童の6人に1人強が犯罪の前兆的事象の危機に遭遇(前危機被害遭遇体験)
児童の15%が1年間に1回は犯罪の前触れ的な事象に遭遇している。この割合 には男女による大きな差はない。この割合には男女による差は見られない。
(エ)危機遭遇場所として通学路あるいは道路が最も危ない(全危機被害遭遇体験)
児童の危機はどこで発生しているのか。10の場所を掲げ、児童が危機に遭遇した場所はどこかを求めた。
全ての児童の内で、「通学路やその他の道路」でという者が12%を占め最も多い。次いでは「その他」以外では、「公園」が3%、「駐車場や自転車置き場」が2%となっている。
学年別に見て、ほぼ同様な遭遇場所となっている。こうした傾向に男女差はない。
(オ)通学路や道路が最も危なく、公園がそれに次ぐ(危機被害遭遇体験)
2年生(108名)と4年生(189人)そして6年生(170人)の危機遭遇体験者にその遭遇場所を求めた。
犯罪の危機に遭遇した児童の56%は「通学路やその他の道路」で遭遇している。次いで、「その他」以外では、「公園」で18%、「にぎやかな繁華街」で9%、そして「駐車場や自転車置き場」と「駅やバス停」で8%の子どもが犯罪に遭遇している。
資料1:平成22年「日本女子大学総合研究所紀要」第13号
(文責 八手紘子 2019・09・18)