春日井市の安全安心まちづくりへの取り組み
○春日井市の概要
春日井市は名古屋市に隣接する形で北東に位置する住宅都市です。
鉄道網・高速道路 網とも大変交通の便がよい反面、犯罪者にとっても入りやすい環境にあり、自動車盗、 住宅侵入盗などが多い地域です。
○春日井市における安全への取組み
多くの自治体は「安全条例」を策定し、それを基に安全安心活動を進めています。
し かし、春日井市では市長が会長である「協議会」を基に様々な活動を行っています。
春日井市は、全国の自治体に先駆けて、自治体として犯罪防止に取り組み始めたのですが、その当時は協議会が柱となって進めていました。その後、様々な検討がなされたのですが、条例を作らずとも協議会に様々な立場の市民が集まり十分な活動ができるという結論に至り、現在でも協議会が中心となって安全安心に取り組んでいます。
○春日井安全アカデミーの設立とボニター制度
ボニターとは、「ボランティア」と「モニター」を合わせた春日井市の造語です。
地域の安全のための活動を行い、市などの関係機関に対し提言を行う地域安全リーダーとしての 役割を担った人材を、足掛け3年の課程で養成しています。
○所属 ボニター連絡会に所属
○報酬 無償
○補償 ボランティア保険に加入
○任期 特に定め無し
○区域 原則として春日井市内
○庶務 協議会事務局が処理
○服装 原則として協議会指定の服装を着用
○ボニターの活動領域 ボニターは、現在、防犯のみならず防災においても活躍しています。
ボニターの地域安全活動 [プロジェクトチームによる活動]
【防犯】
「安・安診断」による侵入盗対策の啓発
「児童見守り隊」によるパトロールと啓発
「通学路通信簿」による点検
【防災】
総合防災訓練での救出救護デモ訓練
防災拠点訓練等におけるD.I.G指導
水防訓練・地区防災訓練で防災用品展示等
「子ども安全アカデミー」の講師
【ミニ研修グループによる活動】
「こども防犯教室」による啓発【防犯】
「家具転倒防止」による啓発【防災】
○防犯領域での主な活動内容
防犯領域でボニターは大きく4つの活動を行っています。
① 「安・安診断」は戸建住宅の侵入盗対策の啓発です。
市内を3地区に分け1地区300戸程度診断します。
事前準備として啓発区域の選定、地元町内会役員への説明、警察官 を講師として研修会を経た後、「安・安診断」を実施します。診断表に基づき1項目ごとに家人とともに点検し、その都度対策法を助言する活動を行っています。
② 「児童見守り隊」は、小学校区の児童安全確保と保護者・地域住民に対する意識啓発 を目的としています。交差点などに留まる拠点型と、学校から子どもたちと一緒に帰る随行型を行っています。
③ 「通学路通信簿」は、下校時の随行型児童見守り活動を通して、通学路の危険箇所を点検しました。パソコンソフトを駆使し事前の地図、表現方法を目指し3年かけて市内 39小学校すべての点検を終え、協議会長である市長に報告しました。 なお、この「通学路通信簿」のデータは、更新していけるような形で全校に配布しま した。
④ 「こども防犯教室」は下校時の児童見守りを一歩進め、子どもが家に帰ってからの防犯
意識啓発活動です。市内39小学校すべての新1年生を対象に、総合学習の時間を利用
し、「あいさつの大切さ」「知らない人に声をかけられたときの対処法」などについて、
寸劇やアンケートを取り入れ防犯意識の高揚を図っています。
(文責:原千恵研究員 『防犯ボランティア活動リーダー編』 全国防犯連合会 清永賢二監修 より)』