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2021年清永賢二の独り言

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不思議な博士論文:驚く博士号取得論文に出会った

昔と異なり博士論文の抄訳をデジタル版で読むことができるようになった。

そこで興味ある論文(医学系)を読み進む内、ある論文(都内有名私立大学医学系学部博士論文)について、はたしてこれを個人の博士論文として認めてよいのかの疑問が驚きと共に湧いた。あえてその大学名と博士号取得者の名前は記さない。

驚いたのは、論文の内容に関してではない。論文の形式についての以下の様な疑問によるものである。

1.英文雑誌に投稿した医学系論文であるが、この論文を2名以上の複数の者が共同で執筆している。いってみれば共同研究の発表であり、それを基にした博士号取得である。単独執筆ではない。医学系大学の博士号授与論文としてはありうることなのか。ここでは「分からない」としておく。

2.それは良いとして博士号取得者は、その論文の筆頭名(筆頭番号)となっているが、面白いことに、というか不思議なことに博士号取得者の他にもう1名が主要氏筆者として同じ番号を氏名の上に振っている。ありうるのか。どういうことなのか。その論文は、共同研究によってなされ、中心的な働きをした同格の者が2名おり、その内の1人に対し博士号を授与したと云うことになる。おいおい普通は「博士号」というのは、独創的研究をした論文執筆者個人に出すものではないのか。

3.さらに面白いことにその博士号取得者の業績を見ると、過去にその研究と同じカテゴリーの研究を行った履歴(論文発表、口答発表等)が全くない。つまり研究の積み重ねがないのである。その論文1本で博士号取得。全く全く凄い論文に違いない。

4.そしてその博士号取得者は、医学系大学の卒業生ではなく、人文社会科学系の修士課程修了者(博士課程に進んでいない)である。ありうるのか。医学系の学部では、こうした者へも「博士号」を出すのか。専門的学業を経ずとも良いのか。

5.その博士号取得者が、博士号取得論文内容に関わるのと同種の研究を「博士号取得時」まで行っていたということを、同大学医学系学部に勤務する知人に聞いた所、そういうこと(博士号取得のための研究を行っていたということ)を知っていた者は「誰一人居なかった」と明確に表現する。

6.また同大学に博士号取得者は勤務するが、医学系学部を含め正式な研究関係者・大学教員・大学院生などとして所属するのでなく、日常は事務方の一員として勤務しているとのことであった。凄い凄い能力であるに違いない。

どういうことなのか。医学系大学ではこういった論文を博士号取得論文として許すのか。なにがしかの在ってはならない醜聞の臭いを嗅ぐと同時に、日本の知的世界の歪みを垣間見る気がする。ともかくぶったまげた。

(2022/05/05)

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